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黒鷲旗バレー大会女子で初優勝を飾ったトヨタ車体監督
1986センチ、95キロの偉丈夫は、うまく宙を舞わない。それでも胴上げの中心で、みるみる笑顔が大きくなった。選手時代に続いての大会制覇。「気持ちいいです」。声のトーンは少し上がった。
「中学で190センチあった」という少年は、高校で本格的にバレーを始め、日体大に入って花開く。4年だった1992年のバルセロナ五輪に出場するなど、90年代を代表するスパイカーに成長した。2004年に現役引退。一時兼任で復帰したが、男子チームのコーチや監督を務めた。
トヨタ車体の監督に就任したのは12年7月。「女子を教えられるのか」戸迷いもあったが、大学の先輩にあたる高校女子の強豪・東九州龍谷の相原昇監督らのアドバイスも受け、わずか2シーズンで結果を出した。
ブロックやレシーブの練習に自ら強烈なアタックを打つ一方、「選手全員にバランスよく声をかけ、アドバイスする」と気配りも欠かさない。重きを置くのは「選手の自主性」。競った試合のタイムアウトでも選手の輪から、ふっと離れる。一方的にいうのは好きじゃない」
昨年3月に亡くなった妻に「いい報告ができる」と、ポケットに入れた形見のお守りをさすった。15歳の長女は東京でタレント活動を、中学1年の長男はバレーを始めた。「チームも、二人の子供もこれからが楽しみ」。照れたようにつぶやいた。(文:山口敬人)
東京都出身。大学卒業後は東レでプレーし黒鷲旗大会は2002年に優勝。趣味は映画観賞。「アクション映画がいい」
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